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事 例 |
特別永住者と離婚した子どものいない工場労働者として働いている女性に「定住者(1年)」への資格変更が許可された例。 |
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事案内容 |
A女(34歳)は特別永住者の夫Bと離婚した。結婚生活は8年間であり、二人の間に子どもは居ない。女は現在、工場労働者として働いているが、このまま日本で暮らすことはできるか。離婚の原因は、筆舌に尽くし難い度重なるBの暴力であった。 |
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考 察 |
1.この案件ほど、当職の心を揺り動かしたものはかつてなかったと言っても過言 ではありません。「社会に正義という言葉が存在する以上、この相談者を救うためにこそこの言葉を使ってあげたい」という気概のようなものを感じながら関わっていった案件でありました。大阪市内にある某外国人相談センターで相談員をしている知りあいの社会保険労務士から「大変複雑な事案でしかも在留資格が絡んでいる事案なので、私たちでは対応しきれないからよろしくお願いします。今本人が来ているので、できれば先生の事務所にこのまま行ってもらってもいいですか」という一本の電話からこの案件はスタートしました。
2.初対面であるにも拘わらず、人目をはばかることもなく「号泣しながら」現状を訴える相談者の「心の痛み」に触れ、「何とか努力してみましょう」というのがやっとでありました。ポイントは「永住者の配偶者等の資格で工場労働者として在留していた女性が子供もいない状況で離婚した場合であっても在留を続けることができるか」という点であった。
3.平成8年7月30日付法務省入管局長通達「日本人の実子を扶養する外国人親の取り扱いについて」は、「定住者」資格にとって画期的(?)なものであった。即ち「日本人の配偶者等」の資格で在留していた「外国人親」が不幸にして離婚することになっても「日本人の実子」を看護養育している場合には「定住者」資格が付与され在留を続けることができるというものであった。
近年、日本人の国際結婚が増加する一方で、その間に生まれた子を外国人親に託して離婚するケースが多くなっていること、在留外国人の増加に伴い日本人と外国人との間の「婚姻外出生子」が急増していること等の状況を踏まえて、これら日本人の実子が外国人親とともに我が国で安定した生活を営めるようにするため、未成年かつ未婚の日本人の実子を看護養育する親について、法務大臣が「特別な理由」を考慮して「定住者」資格を認めたのである(坂中英徳他著―新版「出入国管理及び難民認定法逐条解説」241頁)。
4.前述の通り平成8年7月30日付法務省入管局長通達は画期的なものであった。しかしながら、この通達では「日本人実子(非嫡出子も可)」の存在が不可欠でありしかもその子を「看護養育」しているという事実が必要である。また、この通達の対象となる外国人は「正規に在留」する外国人であり、不法残留者や退去強制事由該当者は原則的に除外されている。しかし、「日本人の実子を看護養育」している場合には仮に退去強制事由該当者であっても「特別在留許可」の可否の判断において、「重要な情状」とな利得る(前出―坂中著・248頁)。ということで「日本人実子」の存在が大きなポイントである。
5.したがってこの通達の文理解釈からすれば「永住者の配偶者等」の場合には仮に子供がいてもこの通達がストレートに適用されることはないということになる。まして言わんや本件相談者のような子供のいない場合にはなおさら蚊帳の外に置かれることになるのである。しかし、実際の運用においては「永住者の配偶者等」の場合であっても、「子供」がいる場合には上記に準じて「定住者」資格を認めているようである。ここまで、柔軟な取り扱いをしても救済できないのが本件のようなケースであった。
しかしながら、本件Aと、不倫をして「日本人実子(認知)」を出産しその子を看護養育している外国人親を比較した場合はどうであろうか。本件Aの場合はたまたま子供に恵まれなかったに過ぎないのである。果たして「子供」の有無だけで資格の付与を判断するというやり方はいかがなものであろうか。Aは度重なる夫の暴力に耐えながらも健気にひた向きに生きていました。しかし、そんなAに対して夫は執拗に暴力を繰り返し、Aを罵倒し虐待し、追いつめていきました。
サディスティックに暴力を振るい虐待を繰り返す夫からひとときでも開放されるため、それでも「生きている」ことを実感するためAが選んだのは「関西生命線(いのちの電話)」というボランティア活動でした。ここで、Aは「自分よりももっと悲しみ、苦しんでいる人たち」の力になりたくてボランティア活動に積極的に参加していくことで、自分の「いのち」を実感していたのです。Aの離婚はそんな生活からの「脱出」であり、「人間らしい生活の回復」でありました。
6.「定住者」資格を得るための「法務大臣の考慮に値すべき特別に理由」の判断基準には明確に示されたものはない。しかし、よく似た在留資格である「永住者」等の在留資格から推し測って「素行の善良性」「独立生計要件(生活の安定性)」「日本への定着性」等を判断基準にしている。本件Aはこれらすべてを充足していることはいうまでもない。 |
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参考資料 |
申請理由書サンプル
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